表題番号:2024R-053
日付:2025/04/09
研究課題高校生による古墳の宇宙線透視プロジェクト「墳Q」
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 大塚 未来 |
- 研究成果概要
- 昨今、文理融合・横断領域の研究分野において意義深い学術研究がなされており、今後もその重要度は大きくなっていくと考えられる。特に、宇宙線による遺跡の内部構造の解明は、物理学・考古学両領域にインパクトを与えた。宇宙線透視技術は原発の内部透視や津波の測定など社会的な意義も大きく、今後も広がりのある発展が期待される技術である。また、遺跡の宇宙線透視は、その学際性から、多角的、複合的に事象を捉え組み合わせる力を要し、理数探究のテーマとしても適した題材であると考えられる。そこで、本研究は古墳のミュオグラフィという素粒子物理学と考古学の融合領域を題材とし、高校生による学際研究を実践するための学習プログラム、教材開発、コラボレーションの構築を目的としている。本庄高等学院では、2020年から早稲田大学の考古資料館や本庄早稲田の杜ミュージアム、大阪大学、高エネルギー加速器研究機構、総合研究大学院大学、名古屋大学、山形大学の科学者や大学院生と連携して、高校生による宇宙線の透視プロジェクト「墳Q」活動を実施している。これまで、古墳の測定、日本地球惑星科学連合大会や日本考古学協会の高校生セッションでのポスター発表を行ってきた。本年度における高校生の主な活動は以下のとおりである。・古墳での測定とターゲット古墳の探索教育用に開発された宇宙線検出器OSECHI(Outreach & Science Education Cosmic-ray Hunting Instrument )を用いて、本庄市の秋山庚申塚古墳における宇宙線の測定を行い、古墳の入り口と奥壁での宇宙線フラックスの比較を行った。また、周辺の古墳の文献調査からミュオグラフィ探査のターゲット古墳を探索し、ミュオグラフィ探査のターゲットとして前原愛宕山古墳を候補として選定した[1]。・体育館の宇宙線透視早稲田大学本庄高等学院体育館の内の複数個所でOSECHIによる宇宙線測定を行い、体育館の構造との比較を行った。・外部環境が宇宙線量へ与える気象・太陽活動が検出される宇宙線量に与える影響を考察し、データ解析を行った。・宇宙線検出器OSECHIの性能評価プラスチックシンチレータを用いているOSECHI検出器の検出効率の温度依存性についての調査を行った。[1] https://www.waseda.jp/school/honjo/news/5918