表題番号:2024R-051 日付:2025/01/21
研究課題産業史及び産業遺産を中等教育の理科分野に効果的に導入できる教材の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 竹田 淳一郎
研究成果概要
【概要】 私は,東京書籍の教科書編集委員として2021年発行の中学校理科の教科書の執筆を行い,2025年度には新しい教科書が発行予定である。教科書には所々で産業史,産業遺産の話題が挿入されるため,私も産業史のコラムを書いたが,あくまで簡易な読み物なのでその業績を身近に感じることは難しいと感じている。また,高等学校の化学では製鉄や銅の電解精錬について学ぶが,そこに至るまでの産業史については触れられることはほとんどない。そこで,産業史や産業遺産を中等教育に有効に導入できる方法を研究し,生徒がその業績を実感できるような教材を開発したいと考えた。 【結果と考察】 8月に世界遺産として「明治日本の産業革命遺産」に認定されている萩の反射炉,恵美須ヶ鼻造船所跡を訪問し,その途中にある秋芳洞にもよって製鉄に使われる石灰岩の状況も併せて調査した。また,12月には伊豆韮山の反射炉,ジオリア(伊豆半島ジオパークミュージアム)を訪問し,教材としてどのように利用すべきか,どのような形で中等教育に導入できるか研究を行った。反射炉は転炉が開発されるまでは製鉄には不可欠なものであったが,現在では使われていないために歴史分野で少し触れられるだけで化学分野では学習しない。しかし,日本の近代化には欠かせないものであったためにこれを理科の授業に導入できれば高い学習効果を得ることができると考えており,教材開発を進めている。 石灰岩に関しては,中学校の地学では堆積岩として,化学では二酸化炭素を発生させる材料として,高等学校の化学で無機化学で重要な元素として学習するが,それらのつながりはほとんど見られない。そこで,石灰岩に関してこれらを統合して生徒に提示できるような教材を研究し,開発することを試みて高校三年生の授業で実践した。この成果は次年度以降に学会等で発表する予定である。