表題番号:2024R-050 日付:2025/04/29
研究課題日本語教育のための多義動詞の意味・用法ごとの親密度測定
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 日本語教育研究センター 准教授 三好 裕子
研究成果概要

本研究は、多義動詞の個々の意味・用法について、母語話者にとっての馴染みの深さの程度である「親密度」を測るシステムを構築するものである。動詞は文の核となる品詞であり、表現活動において動詞の適切な選択と使用は非常に重要である。しかし、動詞の適切な使用に必要な意味・用法の理解は学習者にとって容易ではない。特に基本動詞は多義化する傾向があるが、日本語教育の現状では、学習対象とすべき意味・用法の範囲を決定するための明確な指標がなく、学習者の日本語レベルに合わせた範囲設定の指標が求められている。本研究では、その指標となるものとして、現在作成の進んでいる基本動詞データベース「Don 動詞どん」を用い、動詞の意味・用法ごとの「親密度」を測るシステムを作ることを目指す。

現在、「Don 動詞どん」の作成を進めており、現在までに約800エントリーを完成させ、すでに一部を公開している。また、「Don動詞どん」の効果を検証する実験を行い、効果を実証することができた。その調査で、「Don動詞どん」は調査に協力した学習者から高く評価された。この調査結果は、ICJLE2024において「日本語動詞学習データベース「Don動詞どん」の有用性―適切な文産出のために―」というタイトルで発表した。さらに、この調査において収集したデータの分析を行い、「動詞の持つ構文情報の指導に向けてー日本語動詞学習データベース「Don動詞どん」の効果検証実験からー」というタイトルで、論文の投稿を行った。