表題番号:2024R-043
日付:2025/05/23
研究課題瞳孔径変動と事象関連電位による楽曲予測性の評価
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 百瀬 桂子 |
- 研究成果概要
- 楽曲中の逸脱音に対する聴取者の瞳孔拡張反応(PDR)と事象関連電位(ERP)から、楽曲予測性と親近性(聞き馴染み)を評価することを試みた。瞳孔運動は主に皮質下処理を、脳電位変動は皮質処理をそれぞれ反映することから、同時計測することで、知覚・注意のレベルや処理過程の神経基盤に関する手がかりになると考えられる。そのような手がかりとしての有用性を確認するために、17名の実験参加者にサビを含む12秒ほどのメロディ(日本の歌謡曲やJPOP)を60曲(このうち30曲はメロディ後半部にピッチ逸脱音あり)聞いてもらい,1曲聴くごとに親近度(聞き馴染みの程度),予測性(メロディ展開を予測しながら聞いたか)、好みをそれぞれ5段階で評価してもらった。楽曲聴取中に記録した瞳孔径変動と脳波から、PDRとERPを抽出した。PDRとERP P3の最大振幅値と潜時を,親近度および予測性の高メロディ群と低メロディ群で比較したところ、PDRでは統計的に有意な差はなかった一方で、ERPは,頭頂部で潜時250-300 ms と後頭頂部の潜時270-400 ms の平均電位が,高メロディ群で有意に大きくなった。皮質下処理に関わる瞳孔変動には,メロディへの親近度・予測性の程度にかかわらず逸脱反応が出現し,親近度・予測性の違いは皮質応答である脳波に反映されることが確認された。