表題番号:2024R-043 日付:2025/11/10
研究課題瞳孔径変動と事象関連電位による楽曲予測性の評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 百瀬 桂子
研究成果概要
楽曲中の逸脱音に対する聴取者の瞳孔拡張反応(PDR)と事象関連電位(ERP)から、楽曲予測性を評価することを試みた。瞳孔運動は主に皮質下処理を、脳電位変動は皮質処理をそれぞれ反映することから、同時計測することで、知覚・注意のレベルや処理過程の神経基盤に関する手がかりになると考えられる。そのような手がかりとしての有用性を確認するために、実験参加者にサビを含む12秒ほどのメロディ(日本の歌謡曲やJPOP)を60曲(このうち30曲はメロディ後半部にピッチ逸脱音)聞いてもらい、1曲聴くごとに親近度(聞き馴染みの程度)、予測性(メロディ展開を予測しながら聞いたか)、好みをそれぞれ5段階で評価してもらった。楽曲聴取中の瞳孔径変動と脳波からPDRとERPを抽出し、主成分分析を適用した。その結果、PDRからは潜時500 ms,1500 ms, 2800 ms を最大値とする3つの主成分が得られ、このうち、潜時500 msと2800 msの主成分値は、主観評価値から算出された楽曲予測性が低い場合に振幅が大きくなる傾向がみられた。正中線上のERPは、予測・親近性の程度によりP300相当の陽性波の振幅・潜時に違いが見られたが、主成分分析の結果からは予測性と関連する主成分は得られなかった。今後、解析対象領域を拡大してSNRを改善した解析を行うとともに、その解釈を検討予定である。以上の成果の一部は、第63回日本生体医工学会大会で報告予定である。