表題番号:2024R-042
日付:2025/04/11
研究課題ジョルジュ・バタイユにおける1920〜1930年代の執筆作品の背景をめぐる包括的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 福島 勲 |
- 研究成果概要
ジョルジュ・バタイユ(1987-1962)の思想と作品とにおいて、特定の土地に対する参照は常に重要というわけではない。しかしながら、例外の一つと言えるのが、スペインという土地へのこだわりである。とりわけ、1934~1935年に書かれた物語『空の青(Le Bleu du ciel)』においては、スペイン内戦前夜のバルセロナが重要な舞台に用いられている。また、同時期、画家アンドレ・マッソンとともに訪れたモンセラートの光景は「空への墜落」という幻視を彼らに与えており、『空の青』の結末部における主人公たちの体験を準備するものとなっていると言える。
したがって、本研究では、スペインの土地がバタイユおよびその作品に与えた影響を浮かび上がらせるべく、『空の青』の舞台となったバルセロナ、モンセラート、そして、マッソンの家があり、バタイユが何度も滞在し、そこで『空の青』を脱稿したトサ・デ・マールの現地調査を行った。その結果、『空の青』に描かれるバルセロナの街の位置関係と風景、モンセラートで「空への墜落」と表現された幻視の意味、また、マッソンが住み、バタイユが訪れた当時のトサ・デ・マールが言わば芸術家たちの集まる「村」として機能していた文化的・歴史的背景について、貴重な知見を得ることができた。