研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 | 教授 | 坪川 信 |
(連携研究者) | 大学院情報生産システム研究科 | 助教 | Feng Weinan |
- 研究成果概要
本特定課題研究での主たる成果と支出経費について、以下報告する。
本課題では、ナノサイズ微粒子の捕捉及び輸送を実現する光ピンセットに利用する高強度光ビームスポット形成法と適応可能な光導波路構造の解析を行った。従来、ナノサイズ領域への効率的な光閉じ込めには金属膜のプラズモニック構造が数多く適用されてきているが、熱問題等の観点から非金属材料が望まれており、我々は光ファイバ先端に非金属材料の微細なSiコーンを付着した構造を提案した。通常、コーン形状のような光導波路では、内径が小さくなるにつれ、伝搬モードフィールドが拡大し、エバネッセント波の拡がりが光スポット径を拡大させてしまう。我々は、コーン内部に最低次のTMモードだけを結合させる方法でこの問題を解決した。コーン内部のTMモード光は、高屈折率コントラストなSiコーンと外部空気層との境界領域において電界強度増強が生じ、かつコーン円周方向に連続分布する電界成分がコーン先端の近接領域でコヒーレントに重なり強め合う効果を生じさせ、結果として、光スポットピークが入射光強度の1000倍に及び、わずか約0.5 nm x 0.5 nmの空間光スポット形成が可能なことをシミュレーションにより示した。本データは従来報告を凌駕するものであり、かつ、デバイス自体がSiという一般的な材料と比較的単純な形状からなるため、実用にも寄与しうるものと考える。詳細は米国での国際会議に登録された。
上記の他、微粒子径や形状での移送によるソーティングのための平面導波路構造の提案と評価、及び、フォトニック結晶光ファイバ構造を利用した液体屈折率測定の関連研究を実施し、内容は大学内の修士論文として報告した。
研究に関する予算50万円の用途に関しては、35万円を計算に用いるシミュレーションソフトウェア年間利用ライセンス、14万円を学会参加費、残りを事務用品で使用した。