表題番号:2024R-023
日付:2025/04/02
研究課題広域計測・高分解能・高サンプリング周波数を並立した画像振動計測の確立
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 准教授 | 松原 真己 |
- 研究成果概要
- 大規模機械構造物を対象とした広域計測・高分解能・高サンプリング周波数を並立した世界最高の画像振動計測手法の実現へ向け,マーカー追跡技術に関わる光量の問題に取り組んだ.画像振動計測においては画像内の変位量を評価するため,マーカーの追跡精度を如何に高精度化するかが課題である.Phase-locked loop撮影とは,特定の周波数で定義されるsin波加振の位相毎に撮影を行うことで,ストロボ効果を利用してその周波数における計測を実現する手法である.低フレームレート,高画素数のデジタルカメラを変位計測用として利用することができ,広域計測および導入コストの低減が可能となる.一方で,撮影空間が広がること,ストロボの発光幅による撮影は実質的に露光時間が短くなることから,明瞭な画像が得られにくいという問題を有する.そこで,複数回ストロボを発光させて露光時間を稼ぐ方法を確立することでその問題点を克服する.変位算出法として積分ドット重心法を採用した.背景色と円形マーカーの輝度値を質量に見立てて,サブセット内の重心位置を求めるという手法であり,背景色と円形マーカーの輝度差が変位算出精度に大きな影響を与えると考えられている.本研究では,ストロボの発光回数を変化させることでそれぞれの輝度値を可変にして,変位算出値のばらつき評価を行った.具体的には直径5 mmの白色円形マーカー,黒色背景色を準備し,カメラとストロボを用いて撮影を行う.ストロボの発光回数は3~450回とした.ここで発光幅は一定とし,カメラの露光時間内に発光した回数と定義した.得られた2次元画像からサブセット内の重心位置を算出し,算出値の変動を標準偏差で評価した.実験結果から,発光回数を増やすに伴い,変位の標準偏差は小さくなり,0.01 pixelを切れることがわかった.これは発光回数が増加することで,輝度差が大きくなることで変位算出精度が改善したためである.