表題番号:2024R-014
日付:2025/04/17
研究課題メソシデライト・HED隕石を用いた天体ベスタ進化の解明
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 助教 | 中西 奈央 |
- 研究成果概要
182Wは短寿命核種182Hfから半減期890万年で生成する。親石性のHfと親鉄性のWという化学的特徴により、コアやコンドライトはマントル・地殻と大きく異なるW同位体組成を持つ。このことをHED隕石に利用してHED隕石の母天体と考えられている小天体Vestaの進化過程を明らかにすることを本研究は目的としている。そのために前年度に引き続きタングステン同位体分析法の開発を行った。前年度の結果を踏まえて、天然岩石標準試料であるJG-2を用いてテストを行った。その結果、陰イオン交換樹脂を用いた化学分離では高回収率でWが分離され、182W/184W同位体比はμ182W = +1.7±8.2 (2SD, n = 3)で測定できることが分かった。この結果は参考文献値と誤差の範囲で一致しており、繰り返し再現性にやや改善の余地があるが、問題点の目星はついており、目標である繰り返し再現性± 5 ppmでの測定は可能であると見込んでいる。これらを踏まえて、実際に分析を行うHED隕石の試料選定を行った。試料の分解は2025年4月以降に開始する予定。