表題番号:2024R-009
日付:2025/02/11
研究課題非行少年や犯罪者の更生を支援する民間人についての実態調査
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 藤野 京子 |
- 研究成果概要
- 非行少年や犯罪者の支援にかかわる家族以外の民間人が、どのような動機や経緯で彼らの社会復帰支援活動にかかわるようになり、かかわってみてどのような経験をしているか、さらにそれが自身にいかなる影響をもたらしているととらえているかについて、現役保護司、元保護司、薬物や酒などの依存問題を抱えていた元当事者である支援者に対してインタビュー調査を行った。保護司になった経緯については、他のボランティア活動等にも手広く従事していて、知人等に誘われ、その人との関係性を勘案し、自身にそれをする余力があることから引き受けたとし、対象者に対する直接的な働きかけに限定せず、他の保護司等多くの人とその活動を行う中での様々な役割を担うことを含めて、自身を成長させることができる、自身が社会の中の役に立っている、ととらえていることが語られた。ほか、非行(少年)や犯罪(者)という現象に興味があり、その実態を深く知りたい、そして少しでもその予防の役に自身が立ちたいとの動機から関与するようなった保護司については、自身が担当し終えた後でも対象者のことを心にかけ、さらにその後の成長ぶりに触れては喜びを見出していた。両群が共通して語ったこととして、ボランティアではあるものの保護司という制度の中で様々なきまりごとがあり、そのすべてに満足しているわけではないこと、対象者の特殊性に鑑み、自身の心身の安全を意識し、無理のない範囲で行っていることが語られた。一方で、元当事者であった支援者については、支援することが現時点での自身の現状維持に役立っていること、自身の経験が直接役に立つ活動であること等、その活動が自身にとっての大切な居場所になっていることが語られた。一方で、対象者との心的距離が近く、他人事と割り切ることなく、結果として自身に無理を課してしまう結果にしばしばなってしまうことも語られた。