表題番号:2024R-002
日付:2025/04/28
研究課題世界秩序再編過程におけるG7体制と日欧関係:安全保障共同体の内外における外交実践
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 政治経済学術院 政治経済学部 | 教授 | 中村 英俊 |
- 研究成果概要
- 日米欧G7体制は、冷戦期の西側世界において分厚い「リベラル国際秩序(LIO)」を確立する上で一定の役割を果たした。この限定的な秩序は冷戦後も健在であり、G7諸国は1999年以降にG20システムの構築に成功したが、冷戦後にグローバルなリベラル秩序は安定的に構築されていない。このような現状認識の下、本研究は、「西欧安全保障共同体」における英独仏の外交実践が、日米欧G7体制におけるアメリカや日本の外交実践にどのような影響を及ぼしたかの考察を試みた。さらに、これら西側諸国が中露やグローバルサウス諸国を含むG20システムにおいて、どのような外交実践を展開してきたかの考察を試みた。これら事例研究(特に日欧政治関係に焦点を当てた事例研究)および「安全保障共同体」概念と「実践」概念を中心とした理論研究に関する国際共同研究を進めることができた。これから数年かけて英独仏3か国の研究拠点を築き国際共同研究を進めるため、2024年度には以下のような研究者交流を実施することができた。第1に、イギリス拠点では、ウォーリック大学のC・ヒューズやケント大学のR・ウィットマンなどの研究協力者とともに、国際アクター論の観点を加味して、日英独仏そしてEUの外交実践の比較研究を試みる基盤を築いた(1月の渡英などを通して)。第2に、ドイツ拠点では、ベルリン自由大学のT・リッセ、T・ベルツェルなどの研究協力者とともに、「西側秩序」や「連結性」をめぐる「リベラルなスクリプトへの異議申立て」に関する研究を進める基盤を築いた(両教授などの10月訪日などを通して)。第3に、新たにフランス拠点を築くべく、パリのJICAフランス事務所を訪問して(12月)、開発援助およびインフラ投資をめぐる日EU協力関係に関する意見交換の場を設けた。この研究テーマとの関連では、スペインを拠点とするD・セルバンとはオンラインを中心に開発援助アクターとしての日EU協力関係に関する共同研究を継続している。