表題番号:2024Q-028
日付:2025/07/21
研究課題英語ライティングの評価方法の検討ートゥールミンの論証モデルに着目した研究ー
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 細 喜朗 |
- 研究成果概要
- 本研究の目的は、論証モデルに基づいて高校生が英語で書いた文をどのように評価できるかを明らかにし、適切な「評価項目」と「評価基準」を検討することである。学習指導要領(文部科学省, 2018a)では「論理性に注意して書くこと」が目標として明記され、同解説では「理由や根拠を明らかにし、論理の一貫性に注意すること」が求められている(文部科学省, 2018b)。一方、平成27年度英語力調査(文科省,2016)では、高3生の18.1%が論理的意見記述課題において0点の結果であった。つまり、論理的に書く指導法と、その効果を測る評価指標の両面に課題があることを示している。そこで本研究では、文部科学省(2018b)の謳う「論理の一貫性に注意すること」を評価するためにトゥールミンが提案した論証モデル(Toulmin,1958)(以下,論証モデル)を参考にした。まずは「書くこと」の指導において,英語圏では教師がどのような評価方法を用いているのか、実践的な指導と評価の現状を把握することからはじめた。その現状把握の方法として、アメリカの大学でESL教育に携わる教員にインタビューを実施した。アメリカのESLでは、アジアを含む多様な学習者を対象としており、日本の高校における英語教育にも応用可能な知見が得られると考えた。インタビューの内容は大きく分けて2点に分けられる。1つ目は、現在のライティング評価方法について、2つ目は論証モデルの認知とその教育的有効性についてである。その結果、多くのライティング指導にはルーブリックが使用されており、論理・構成・文法など多様な観点が含まれていることが明らかになった。一方で、論証モデルについては、主張と根拠をつなぐためのwarrant(論拠)の存在が学習者を混乱させるおそれがあるため、必ずしも有効ではないという否定的意見もあった。今後の課題として、論理性に注意して書く指導のためのルーブリックを刷新すること、そして、それに基づく指導実践の検証が必要であると考える。