表題番号:2024Q-022 日付:2025/04/08
研究課題在宅学習における学生の授業中の行動と学習プロセスに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 尾澤 重知
研究成果概要

 本研究の目的は、オンライン会議システムを利用したリアルタイム型のオンライン授業において、学生がどのように授業へ関わっているか、また、授業内のアクティブラーニングにおいてどのような支援が有効かを明らかにすることである。
 本研究は、実際の大学教育現場を対象とした授業実践研究である。Zoom等を利用したリアルタイム型授業、かつプロジェクト型学習などのアクティブラーニングを実施している授業を対象とした。一つはリアルタイムのみ、もう一つは対面のみで実施された。両者とも研究代表者が所属する学部で開講し、2-4年生が受講可能であった。

 研究対象とした2023年度のリアルタイム型のオンライン授業では、学習プロセスの把握を目的として、リアルタイム型授業におけるチャット、グループでのディスカッション、オンライン学習管理システムに提出するライティングの組み合わせに着目した。100分の授業の中で、場合によっては510件程度の「問い」を授業内で投げかけ、効果を検討した。また、2024年度は同様の内容をチャットではなく、対面での手書きを含むワークシートに変更し、グループディスカッションとの組み合わせの効果を検証した。

 結果として、リアルタイム型の短時間でのチャットでの回答は、学生の理解度の把握に有用であり、学生の授業への関わりについても積極性を増す可能性が高いことが分かった。一方、グループディスカッションとの接続には課題が見られた。

 対面型の授業では、ワークシートに書いた内容を一斉にグループで共有する方式を採用したため、チャットに比べ実施に時間がかかるなどのデメリットが見られた。しかし、少人数グループでの共有により、ディスカッションが活性化する可能性が示された。

 今後も、チャットもしくは手書きのワークとグループ活動をより効果的に組み合わせる方法を探りながら、学生の学びを深める授業デザインの効果の検証を続ける。