表題番号:2024Q-008 日付:2025/04/08
研究課題インバウンド客の増加にともなう観光産業におけるマネジメントの諸課題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 長谷川 惠一
研究成果概要
 今年度は、インバウンド(訪日観光客)の増加により、「オーバーツーリズム」の状況が発生しているという指摘を踏まえ、下記のとおり状況把握を試みた。

1.国内の観光資源の視察
 観光地を来訪する観光客の増加により、観光資源のキャパシティを超えることが指摘されている。また、訪日観光客が日本のルールや慣習に慣れていないため、結果的にその地域に在住・勤務する人たちに迷惑がかかるという指摘もある。
 この点について、国内の観光資源を何カ所か視察した。新型コロナ禍が収束した後に訪日客が増加してはいるが、観光資源のキャパシティを超えているという感じはなかった。ただし、季節・曜日・時間帯などにより、訪日客の数は変動するので、最終的には、地方公共団体などがとりまとめる統計データなどで、入込客数や宿泊客数を把握する必要がある。
 なお、国内を新幹線で移動するにあたり、JR各社では、大きな荷物については置き場所や利用料金の案内などの情報提供をしているが、それを知らずか知ってか、新幹線の出入口にスーツケースを山積みしている訪日観光客のグループがいたことも観察した。こういった点については、どのように情報提供や羞恥を行うのかを交通機関で検討しなくてはならないことを、機会をみて提案していく。

2.国内の宿泊施設の状況
 訪日観光客の増加により、国内の宿泊施設において宿泊料金が高騰していることが指摘されている。宿泊料金の高騰は、宿泊施設の稼働率の上昇も要因の一つである。また、実際に宿泊料金が上がる要因は、稼働率の上昇以外にも考えられる。
 そこで、過去3年分の宿泊施設のデータを有料で購入し、新型コロナ禍のころと新型コロナ禍後とを比較して、どのような差異があるのか、また、その要因は何かについて分析する準備を始めた。
 これと並行して、複数の旅行業者・宿泊施設に対し、宿泊料金の高騰に関連する要因について、聞き取り調査を行った。