表題番号:2024Q-007
日付:2025/03/29
研究課題歴史実践としての戦争表現――「ポスト冷戦」後のパラダイムシフトを見据えて
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 五味渕 典嗣 |
(連携研究者) | 琉球大学 | 教授 | 呉世宗 |
(連携研究者) | 長崎大学 | 助教 | 樫本由貴 |
(連携研究者) | 広島大学 | 教授 | 川口隆行 |
(連携研究者) | 日本大学 | 教授 | 高榮蘭 |
(連携研究者) | 防衛大学校 | 教授 | 副田賢二 |
(連携研究者) | 早稲田大学 | 教授 | 中村隆之 |
(連携研究者) | 二松学舎大学 | 教授 | 中谷いずみ |
(連携研究者) | 早稲田大学 | 教授 | 野上元 |
(連携研究者) | 東京女子大学 | 教授 | 柳原伸洋 |
(連携研究者) | 甲南女子大学 | 教授 | 横濱雄二 |
(連携研究者) | 大阪大学 | 教授 | 渡邊英理 |
(連携研究者) | 淡江大学 | 教授 | 李文茹 |
(連携研究者) | 原爆の図丸木美術館 | 学芸員 | 岡村幸宣 |
- 研究成果概要
- 本研究では、2025年の「戦後80年」という時機を強く意識し、現代日本において過去の戦争がどのように語られ、表現されているかをジャンル横断的に検討する学際的な共同研究を行った。本研究での活動をもとに科研費課題に応募、2025年度からの採択が内定している。①連携研究者と科研費申請に向けた準備会を複数回開催し、現代日本の戦争表現を「先の大戦」の記憶の想起と再話という観点だけでなく、同時代の「戦争と暴力」との交渉・応答という側面から再評価する課題意識を共有した。②上記の立場から、実作者としてアーティストの小林エリカ氏に対するインタビュー、ドキュメンタリー映画監督の池谷薫氏、映像ジャーナリストの渡辺考氏を招いた映画上映会とトークセッションを開催した。また、2024年9月にはマーシャル諸島での戦争記憶を取り上げた映画『タリナイ』の上映会に参加、監督の大川史織氏と戦争体験者の二世世代との対話から、「体験者ではない世代」の歴史実践に対する問題意識を深めた。③個人研究として、戦後日本社会が「先の大戦」の記憶をどう表象してきたか、また、その表象が同時代の「平和と戦争」意識に対してどう応答・介入しているかを問う研究を進めた。2024年10月には、安部公房における「引揚げ」の記憶にかかる小説について論考を発表した他、2025年1月には、国際シンポジウムで小林エリカ氏の『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋、2024年)と高橋源一郎氏『DJヒロヒト』(新潮社、2024年)を取り上げた研究発表を行った。④地域の戦争記憶を伝える博物館・資料館の現地調査を行い、資料のアーカイブ化の現況やデジタルデータの活用状況を確認した。その上で、人文学研究の社会敵発信の手段として、デジタルアーカイブをどう活用していくか、連携研究者をまじえた検討を行った。