表題番号:2024E-030 日付:2026/04/03
研究課題近代日本における浪漫主義と隠逸思想
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 准教授 チン ロ
研究成果概要

本研究は、近代日本における浪漫主義の生成を再検討することを目的とし、従来の西洋文学受容を中心とする解釈枠組みを相対化し、「隠逸思想」の視座からその再考を試みるものである。とりわけ、明治前期の言論空間に注目し、浪漫主義がいかなる思想的基盤の上に生成・展開されたのかを明らかにすることを目指した。

本研究が提示する第一の観点は、近代日本の浪漫主義を、日本古典以来の隠逸思想が近代的文脈の中で再編成されたものとして捉える必要性である。第二、北村透谷に代表される明治知識人の言説において、「厭世」が単なる消極的感情ではなく、近代社会に対する批判的認識として機能している点である。この「厭世」は、前近代の隠逸思想と内在的な連関を有しつつ、新たな歴史的条件のもとで近代化を再考する契機として転化されている。第三、本研究は、明治期における陶淵明の流行に着目し、夏目漱石をはじめとする作家の作品分析を通じて、中国古典の隠逸思想が近代日本文学においていかに再生産されたのかを明らかにし、近代日本と中国古典との思想的連関を提示した。

以上の研究成果は、学術論文および国際学会において公表されている。