表題番号:2024E-022
日付:2025/02/15
研究課題低融点金属の溶融凝固現象を利用して自己修復するロボットシステムの開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 助教 | 三宅 章太 |
- 研究成果概要
- 本研究では、これまでに開発してきた、低融点金属の溶融・凝固現象を利用した回転型伝達要素をロボットシステムに導入し、自己修復性能の獲得が可能であることを確認するために、1軸のロボットアームを開発し、自己修復の検証実験を行った。これまでに開発した伝達要素は、低融点金属の金属結合を伝達力として利用しており、小型ながら大きな伝達力を発揮可能である。また、過負荷が発生した際には、低融点金属の部品が破壊して力の伝達性能を失い、それ以上の負荷が発生しないようになっている。その後、伝達要素を加熱・冷却することで、低融点金属を溶融・凝固させ、破壊した部品を自己修復する。ロボットシステムにこの機構を搭載するにあたり、機構が制限なく回転し続けることを可能とするため、非接触で加熱ができる誘導加熱を用いた。誘導加熱を利用することで、加熱の工程は約20秒で完了し、短時間での自己修復が可能である。また、出力を自由に調整できるように、モーターと伝達要素の間に減速機を挿入する構造となっている。アームの角度の制御は、モーターに付属しているエンコーダで行う。実験では、開発したロボットアームを用いて自己修復性能の確認を行った。正常な状態では、ロボットアームは1kgの錘を持ち上げられるが、過負荷を発生させて破壊すると、錘を持ち上げられなくなる。しかし、加熱することで、破壊された低融点金属の部品が自己修復され、再度錘を持ち上げられるようになった。この実験によって、ロボットシステム全体として、自己修復性能を獲得できることが確認された。これらの成果は、国内学会SI2024にて発表を行った。今後は、異常検知アルゴリズムなどを用いることで、自己修復の全自動化を目指す。