表題番号:2024E-017
日付:2025/04/04
研究課題内発的動機への実験経済学的アプローチ
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 商学学術院 商学部 | 講師 | 川中 大士朗 |
- 研究成果概要
本研究の目標は、外発的誘因が存在しない状況における内発的動機の役割を実験および理論によって明らかにすることであり、本研究は大まかには実験と理論の2点から構成される。まず実験に関しては、2024年3月に大阪大学の花木伸行氏から連絡があり、花木氏が海外の研究機関と共同で進めていた社会的選好に関する実験プロジェクトに共著者として加わることとなり、実験結果を説明するための社会的選好モデルを作った上で比較静学を行った。このプロジェクトに関する実験は事前登録の手続きをした上で2024年5~6月の期間に大阪大学社会経済研究所で実施された。次に理論に関しては、ゲーム理論や契約理論の専門家の前で研究報告を行った際に頂いたコメントや議論を通じて、本研究の理論的結果が労働経済学、組織経済学、経営学に対して有用な含意を持つことが示唆された。それを承けて労働市場により近い設定としてモデルを解き直した結果、本研究の理論的分析は経営学や社会心理学の文献で報告されている現象と整合的であることがわかった。この成果は翌年度の行動経済学会などで報告する予定である。また、本研究の理論的分析の基礎となる意思決定理論に関する成果を2編の単著論文としてまとめて、それぞれを英文学術誌に投稿した。それぞれの派生的論文において、具体的には、自己が一貫していない場合の意思決定の公理化と自己決定への選好のゲーム理論的な定式化を行った。