表題番号:2024E-016
日付:2025/04/04
研究課題戦間期ドイツ語圏の文学と映画における〈毒ガス〉表象のメディア横断的展開
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学学術院 商学部 | 講師 | 柳橋 大輔 |
- 研究成果概要
- 今年度は以下のふたつの作業に重点を置いて研究を行なった:1)映画『炭坑』(ドイツ 1931年 G.W.パープスト監督)分析/2)ドイツのアーカイヴでの文献・映像資料調査。1)映画『炭坑』は第一次世界大戦後のドイツ文学・ドイツ映画において〈毒ガス〉モティーフが登場する代表的な作品のひとつである。本研究ではまず、この作品がとりわけ〈毒ガス〉表象をめぐって第一次大戦の記憶を間接的に形象化する〈シェル・ショック・シネマ〉(アントン・ケース)の一例と見做しうることを確認したうえで、この〈毒ガス〉表象にペーター・スローターダイク『球体圏』第3巻『泡沫』(2004年)における議論などを援用して分析を加え、その結果について早稲田ドイツ語学・文学会研究発表会において研究発表を行なった。その後研究を進めるなかで、本作での〈毒ガス〉表象についてはさらなる文学史的・映画史的調査のほか、19世紀末以来の〈衛生〉観念や〈空気〉の現象学、近年の〈人新世〉にかんする議論など、より多角的な観点から分析を行なう必要があることが明らかになった。目下、その研究成果を論文にまとめて発表することを目指している。2)1週間ほどドイツに研究滞在し、〈毒ガス〉モティーフが登場する戦間期の文学作品・映画について複数の図書館やアーカイヴで文献・映像資料の調査を行なった。現在、これらの資料を整理し、今後の調査分析のための基盤を構築しつつある。