表題番号:2024E-004
日付:2026/04/17
研究課題19-20世紀ポルトガル・スペインにおける「国民音楽」思想の展開
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文化構想学部 | 助手 | 三浦 領哉 |
- 研究成果概要
- 本研究は、19世紀スペイン・ポルトガルにおけるいわゆる「国民楽派」運動の展開をとくに音楽思想の側面から研究するものである。スペイン・ポルトガル両国の音楽史それ自体は、両国において盛んに研究されているものの、スペイン語・ポルトガル語以外の言語による出版はほとんど行われていない。このような状況においては本国における当該地域の音楽史研究の歴史を把握し先行研究の整理を行うことが研究の基礎となる。その上で該当する時期において「国民音楽」運動が当該地域においてどのような音楽思想(哲学・美学)の議論の上に成立したかを探ることが本研究の課題であった。具体的な研究方法としては、第一に両国の法定納本図書館に所蔵されている音楽史研究文献を調査するとともに、現地においてその内容を確認し文献目録の作成を行った。出版物に関しては概ね両国の法定納本図書館を調査することで目的は達せられるものの、ことにポルトガルに関してはコインブラ大学図書館のみに所蔵される資料と、旧ポルトガル王室所蔵に由来する団体蔵の資料が存在し、これらの実地調査が不可欠であった。特に後者については、その存在を示す文献資料がある一方で内容に関する記述が非常に乏しく資料の実態を文献から把握することが困難であったため、特に時間と手間をかけて調査する必要があった。その上で第二に、19世紀の両地域における音楽思想の展開についてそれらの文献から詳細に検討を行った。これにより、これまで本邦では作曲家・作品研究のみが行われてきた19世紀スペイン音楽について、どのような同時代的思潮の中で現実の運動が現れてきたのかという問題意識の上で一定程度の新しい知見が得られ、研究会での報告を行った。ポルトガル音楽史についてはこれまで19世紀に関してはほとんど光が当てられておらず、バロック期の運動のみがごく少数論じられてきたが、運動の歴史をスペインと比較する形で研究会における報告を行った。論文としての公開にはさらなる研究が必要となるが、研究期間終了間際に見出された新たな資料について精査を行い近日中の論文化を目指している途上である。