表題番号:2024E-002
日付:2025/04/13
研究課題Did the subsidy for dining out under the COVID-19 Pandemic promote mental health?
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 政治経済学術院 政治経済学部 | 助手 | 王 宇鵬 |
- 研究成果概要
- 新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際し、感染拡大防止を目的とした外出自粛や都市封鎖といった措置が世界各国で実施され、人々のメンタルヘルスに深刻な影響が生じた。具体的には、不安感や孤独感の増大、抑うつ症状の悪化などが各地で報告されている。こうした状況下、日本政府は経済的打撃を緩和すべく、2020年に外食産業を対象とした「Go To Eat」キャンペーン(飲食費用の一部を助成する外食需要喚起策)を実施した。本研究は、当該政策が人々の精神的健康に与えた影響を検証することを目的とし、Googleトレンドにおける検索データを用いた実証分析を行った。検索頻度は人々の心理状態を反映する指標とされており、本研究では「ストレス」「不安」「自殺」などのメンタルヘルス関連キーワードの検索量を分析対象とした。分析手法としては、2020年秋に各都道府県で導入時期が異なる政策の特徴を活用し、異時導入型の差分の差分法(Difference-in-Differences)を適用した。2019年および2020年の全国47都道府県の日次データに基づき、政策実施前後の検索傾向を比較した結果、当該補助策は上記のキーワードにおいて有意な負の影響を与えていたことが確認された。すなわち、外食機会の増加がメンタルヘルスへの悪影響を一定程度緩和した可能性が示唆された。現在は、人口統計や社会経済変数を加味したロバストネスチェックを進めており、分析結果の精緻化を図っている。今後、本研究の成果は、パンデミック下における経済政策が市民の心理的健康に及ぼす影響を理解し、将来の危機対応政策を設計する上で重要な示唆を提供することが期待される。