研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 井上 貞行 |
- 研究成果概要
中学校、高等学校の地学分野の中で火山岩、および深成岩の組織については一般的に扱われている。中学校理科では、①火山岩と深成岩で作りが異なるのは、鉱物の結晶ができるまでの時間がちがうからである②結晶の大きさとその冷却時間は対応している。として教えてられている。このことは高校地学分野でも同様である。しかし、実際のマグマの冷却過程において冷却面からの距離と鉱物の大きさを比較した研究は見られない。そこで本研究ではマグマの冷却のうち特に岩脈の冷却過程に注目し、冷却面からの距離と鉱物、特に石基の大きさがどのように変化をするかという点に着目した分析を行った。その第一段階として、様々な場所で野外調査を行い、今回の研究テーマに即した岩脈を見つけ、選抜することから始めた。選抜のポイントとしては岩脈の厚さが数m以下であることであるとした。これは、あまりに大きな岩脈であると複数回のイベントで形成されたと考えられるため、熱的な履歴が複数回含まれる可能性が高くなる。そのため、今回の石基の大きさと冷却履歴を調べるテーマとには適さないとはんだんした。しかし、数mの岩脈は通常地質図等には記載されないため、様々な調査地を実際に歩くしか方法がない。そのため多くの人に助言をもらいながら複数の調査地を踏査し、今回の研究では京都市の大文字山花こう岩中にみられるランプロファイアを調査対象とした。調査地にてサンプリングを行った後、岩石カッターを用いて岩石を切断、研磨しプレパラートを作製した。それらのプレパラート中にみられる石基の大きさを測り、冷却面からの距離と大きさを比較する調査を行った。その結果、距離に比例して石基を構成する結晶の大きさが変化するのではなく、石基の大きさに急激な変化が見られある地点からほぼ大きさが変わらなくなる傾向がみられた。これらのことから今後より詳細な調査が行われる必要があることが明らかとなった。