表題番号:2024C-755 日付:2025/04/04
研究課題肘内側部筋群が発揮できる肘内反トルクを効率よく高めるトレーニング種目の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 助教 小沼 憲吾
研究成果概要
肘内側部障害は投球系スポーツ選手に頻発する投球障害の一つであり、肘内側部筋群の強化が肘内側部障害を予防し得る有望な試みと考えられている。しかし、肘内側部筋群を強化するために必要なトレーニング種目やトレーニング回数については未だ明らかとなっていない。スポーツ選手にはフィジカルトレーニングに十分な時間が取れない時期があるため、トレーニング量とトレーニング効果の定量的な関係を明らかにすることは年間を通じた肘内側部障害の予防策の立案に必要である。そこで本研究の目的は、肘内側部障害の予防効果が期待されている種々のトレーニングについて、トレーニング量とトレーニング効果の定量的な関係を明らかにすることとした。大学ソフトボール部に所属する選手20名(男子8名、女子12名)を対象にトレーニング介入実験を実施した。対象者をトレーニング頻度の異なる3群(週1日群、週2日群、週3日群)に分け、8週間のトレーニングを行わせた。トレーニング種目は以下の6種であった。①リストカール、②リバースリストカール、③ダンベルプロネーション、④ダンベルサピネーション、⑤ショルダーインターナルローテーション、⑥ショルダーエクスターナルローテーション。全ての種目について10回3セットを行わせた。介入期間の前後で肘関節内反筋力と肘関節内側部筋群(浅指屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、円回内筋)の横断面積を計測した。測定日(介入前後)と群を要因とした反復測定二元配置分散分析を行った。その結果、測定日についてのみ、有意な主効果が筋力および筋横断面積の両方で確認された(p < .01)。この結果から、本研究で実施したトレーニングプログラムは週1回の実施だけでも肘内側部筋群の強化に十分である可能性が示された。本研究で得られた結果は、フィジカルトレーニングに多くの時間を割くことができない時期のトレーニングプログラムを立案する上で有用な知見になることが期待される。