表題番号:2024C-751
日付:2025/04/14
研究課題人間のアキレス腱特性の生体計測システムの確立
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 教授 | 川上 泰雄 |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 大学院博士後期課程 | Deng Dongyu |
- 研究成果概要
- 人間最大の腱組織であり、歩行、走行、跳躍動作などの身体運動中にバネとして機能して運動効率を高め、発揮パワーを増加させることに寄与すると考えられているアキレス腱の伸長性に関して、MRI法と超音波法を用いて実測を試みた。足関節角度を変化させ、安静状態で筋腱複合体に伸長負荷をかけたところ、アキレス腱のうち外部腱部分(ヒラメ筋遠位端から腱の踵骨停止部まで)の伸長は極めて少なく(〜1%)、先行研究で報告されている値を大幅に下回っていることが明らかになった。対象としたアキレス腱の長さはtoe-region(つま先領域)と想定される部分であり、軟組織としての伸長性が高いことがわかっている。それにもかかわらず、測定精度の限界に近い程度の伸長しか観察することができなかった本知見は、アキレス腱が「バネ」として機能する可能性を否定するものではないが、その剛性は予想以上に高く、弾性エネルギーの蓄積には極めて大きな力学的エネルギーの付与が必要であることが示された。現在、性差や高強度下でのlinear-region(線形領域)におけるアキレス腱の弾性特性についての測定方法の検討を始めているところである。