表題番号:2024C-750
日付:2025/09/19
研究課題抑うつ症状軽減に寄与するセルフコンパッション介入の開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 杉森 絵里子 |
- 研究成果概要
- 抑うつ症状への対処法として,セルフ・コンパッション(=優しさと偏見のない理解をもって自身の困難に心を開き緩和する能力)を高める介入の有用性を検証する研究が増加している(Han & Kim, 2023)。一方で,セルフ・コンパッションの3つの構成要素「自分への優しさ」「共通の人間性」「マインドフルネス」の関連性,さらにはセルフ・コンパッションを高める介入が抑うつ症状の軽減に寄与するメカニズムが明らかになっていない。本研究では,セルフ・コンパッションを高める介入前後の辛い経験の内容や印象に関する記述の変化をテキストマイニングし,辛い経験に対する心の在り方の変化を検討した。実験では,ここ一週間で起こった,書ける範囲内での辛い出来事を記述してもらったのち,その時の「過去の自分」に手紙を書いてもらった。手紙を書く際,その時の自分の気持ちに寄り添う形で書いてもらう条件と,的確なアドバイスする形で書いてもらう条件を設定した。それぞれ寄り添い条件と,アドバイス条件は32名ずつであった。手紙を書いてもらったのち,今の気分や,その時の出来事に対する評価をしてもらった。その結果,寄り添い条件はアドバイス条件と比較して,今の気分が「満足」しており「ポジティブ」であった。その時の出来事に対しても「その時の自分はベストを尽くしていた」「頑張っていた」という,理解がみられた。