表題番号:2024C-749 日付:2025/09/15
研究課題子供達の睡眠状態と学習能力についての質的側面を加味した関連性についての探索的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 松居 辰則
研究成果概要

厚生労働省から新しい睡眠指針が提唱され,子どもも含めてはじめて世代別の睡眠時間の推奨時間が示されることとなった(厚生労働省,2024).さらに,単に睡眠の長さだけでなく,睡眠による休養感が得られているかどうかを「睡眠の質」として重要視している.しかしながら,日本人の睡眠時間は他国に比べて少ない現状である.睡眠不足は,さまざまな精神疾患のリスクだけでなく,日中のパフォーマンスにも影響を与える.時間と学習には関連があると指摘されており,睡眠不足による記憶力やパフォーマンスの低下は様々な知見から報告されている.

他方,学習についても同様である.学習指導要領の改訂によって,「学習」が単なる記憶力や成績のみで評価されるのではなく,アクティブラーニングや探究活動,ディスカッションなど単に暗記や記憶力だけではない点も重視されるようになってきた.また,子どもたちが主体的に学習に取り組むためには,考える力や発見する力といった学習に対する好奇心や興味・関心が必要である.それらは学習に対する内発的動機,自己肯定感や課題に向き合う力,レジリエンスなどいわゆる学力テストでは測定できない力として,学習能力と関連していると考えられる.しかしながらこれまでの睡眠と学習に関する研究では,睡眠時間と作業成績のような量的な関連を横断的にみる研究にとどまっている.

そこで本研究では,子どもたちの睡眠状態と学習能力について質的な側面を加味した関連性について探索的に明らかにすることを目的として研究を行った.学習の質的な側面に対する睡眠習慣との関連が明らかにされることで,教育現場で新たに求められている子どもたちの学習能力と基本的生活習慣の重要性について基礎的知見の一助となる可能性がある.具体的には以下の事項を行った.

・対象:同意書等の検討(小中学生200名程度を対象)

・調査材料:質問紙(睡眠関連指標,学習成績,自己肯定感,基本的生活習慣)の検討

・倫理的配慮:倫理委員会の承認の準備