表題番号:2024C-747
日付:2025/05/07
研究課題中央・東アジアにおけるウェルネスツーリズムに関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 扇原 淳 |
- 研究成果概要
本研究は、中央・東アジアにおけるウェルネスツーリズムの現状と課題、将来的な展望を明らかにすることを目的とし、インタビュー、フィールドワークおよび資料に基づいて比較検討を行った。今回は、特にカザフスタン、ウズベキスタン、韓国の3か国について報告する。
まず、カザフスタンでは、コロナ禍を契機に国内医療資源の再評価が進み、高度医療技術の導入やサナトリウムなど自然資源を活かした施設整備が進行しており、国内外において医療・保養の両面から注目を集めていた。
次に、ウズベキスタンでは、地理的および価格面での優位性から、歯科、美容整形、伝統医療分野で成長がみられた。特に、発酵飲料や薬草など伝統的資源を活かした保養型サービスが周辺国民から支持されていた。
一方、韓国は政府主導の戦略的医療観光政策により、世界的な医療ツーリズム拠点としての地位を確立している。美容整形を中心に外国人向けの医療サービスを展開しており、最新の設備や接遇面が評価される一方で、イスラム文化への配慮(同姓医師の対応やハラル食の提供など)が今後の課題とされていた。
中央アジア各国は、ウェルネスツーリズムについては、伝統療法や自然環境を活かしたサービス提供で今後の発展可能性が認められるものの、関連法制度や人材育成、各国における統一ブランド、統計データに基づく政策決定などの課題を抱えており、韓国のような国家戦略と民間レベルの文化対応力の強化が必要と考えられた。