表題番号:2024C-745 日付:2025/03/26
研究課題墓標と過去帳からみた江戸周辺村落の死者供養ー東京都狛江市泉龍寺を例として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 講師 中山 なな
研究成果概要
墓近世初期の江戸周辺村落における墓標の受容過程を明らかにするため、東京都狛江市泉龍寺の過去帳に記載された1,685人の戒名と、近世墓標に刻まれた806人の戒名を対象に、戒名の照合と居住地や苗字の有無など記載内容の検討を行った。
その結果、墓標の造立は、当該地域の領主である旗本石谷氏を中心とする武家と、周辺村落の最上層の家からはじまり、17世紀後葉以降その他の村落居住者へと広まったことが明らかとなった。 墓標の受容は、寺檀制の成立により泉龍寺の檀家層が拡大したことが直接の契機となったと推測されるが、その背景には、家の創出自体が進んでいたこと、そしてそれに伴い家意識が高まっていたことが考えられる。
以上の知見をまとめて論文化し、考古学系の学術誌へ投稿した。