表題番号:2024C-742 日付:2025/03/30
研究課題台湾における刑事立法の議論状況に関する比較法調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 仲道 祐樹
研究成果概要

 本研究は、台湾における近時の刑事立法に関する議論状況について知見を得るとともに、東アジアにおける刑事立法の課題を明らかにすることを目的とした。

 この目的を達成するため、本研究では、国立台湾大学から、近時の刑事立法に関する議論に積極的に関与している研究者を2名(許恒達教授、謝煜偉教授)招聘し、日台シンポジウムを実施した。

 シンポジウムは、2025年3月8日に早稲田大学において実施した。謝教授からは、近時の台湾における刑事立法の実例とその特徴について概観していただき、どのような理論的問題点が内包されているかをご報告いただいた。許教授からは、刑事立法を分析する理論ツールである法益論を、近時の台湾における憲法法廷の審査手法の関係で分析するご報告をいただいた。また、日本側からは、深町晋也・立教大学教授より、近時のAI生成性的画像の刑事規制について、日台独の法状況を比較した分析をいただいたほか、研究代表者である仲道が、許教授への応答として、憲法審査における法益論の意義を批判する報告を行った。

 同シンポジウムにより、台湾における刑事立法の現状について、理論面・実際面で理解を深めることとにつながった。また、理論面では「法益論の憲法審査における位置づけ」という新たな問題を浮上させ、研究状況に新たな視点を付け加えることに成功した。

 本シンポジウムの概要は、すでに比較法研究所ウェブサイトにアップされている(https://www.waseda.jp/folaw/icl/news/2025/03/11/11284/)。また、講演のベースとした各論文は、比較法研究所の紀要である比較法学にて公表する予定である。