表題番号:2024C-738
日付:2025/03/10
研究課題半導体光検出器及びレーザに適用する光メタ格子の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 | 教授 | 坪川 信 |
(連携研究者) | 大学院情報生産システム研究科 | 助教 | Feng Weinan |
- 研究成果概要
- 本特定課題研究での主たる成果と支出経費について、以下報告する。本課題では、半導体光検出器(PD)や半導体レーザ(LD)にメタ格子偏向器を具備することで期待される広波長域で高感度なPIN-PDや面発光機能を持つLDの構造の提案を目指している。これまでの研究ではメタ表面によるSi-PD内での量子効率改善は確認できているが、メタ表面による回折光角度の不足と1次回折光へのパワー集中効率が不十分であったため、新たなメタ表面構造が求められた。これを改善するため、今回は、SiとSiO2からなる傾斜周期格子構造を持つメタ表面を新たに設計し、薄い吸収層上部に配置することで、回折効率と回折角の拡大を実現した。その結果、PDへの垂直入射光は回折と内部全反射効果により、吸収層内部の横導波モードに変換・結合され(Guided-Mode-Resonance)、吸収層内の光子寿命が大幅に拡大した。例えば、このメタ表面を付与した3次元のSi P-I-Nモデルの例では、僅か300 nm厚さの吸収層であっても、波長1 µmにおいて約30%の光吸収率が得られた。これはメタ表面が無いフラットSiの場合の45倍の数値に相当し、従来報告を上回る改善効果である。今後、メタ表面構造の改善と共にLDへの適用を検討していく予定である。内容詳細は、学術誌に投稿し、掲載予定。本研究に関する予算30万円の用途に関しては、27.3万円を計算に用いるシミュレーションソフトウェア年間利用ライセンス、残りを計算機、事務用品で使用した。