表題番号:2024C-728 日付:2025/04/01
研究課題欧米における陽明学研究の考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 永冨 青地
研究成果概要

本研究においては、欧米における陽明学研究に関して、時代ごとに概観し、そのうち主要なものを分析するための基礎として、時代ごとの研究の目録の作成を行った。これにより、従来、日本の学界に紹介がされてはおらず、言及されることもなかった研究成果について、知見を得ることができた。

特に、日本においては今日ほとんどなされることの無い、比較思想・比較宗教的研究の面において、欧米においては豊富な成果が生み出されていることを確認し、その内容を知ることができたのは、今後の研究の基礎として重要なものである。

すでに本研究によって、各時代の主要な研究をリストアップし、それらに対して解題を作成している。それらを見れば明らかなことであるが、欧米における陽明学研究は、日本に比して遥かに多角的な視野からの研究がなされている。それらを知ることによって、日本の陽明学研究もより豊富な成果を生み出す音が期待される。

もちろん、欧米の研究には欠点も存在する。漢字文化圏に属する日本の研究者は、陽明学文献の読解においては、有米の研究者とは比較にならないほど高度な読解、分析が可能であり、その利点を利用して、欧米の研究よりも優れた成果を多く生み出してきたのである。

従って、今後はこのような日本の研究の長所を保持した上で、欧米の研究の長所を取り入れ、国際的に発信することが期待されるが、本研究はそのための基盤として有意義なものであると考えられるのである。

今後は本研究に基づき、その成果を欧米に発信するための準備にかかる予定であり、本研究による準備作業は地味ではあるが、極めて有用な基盤整備として活用できるものなのである。