研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 丸野 健一 |
- 研究成果概要
1970年代半ばの広田らによるソリトン方程式の解構造を保つ離散化の試みから始まった離散可積分系の研究は、離散系の可積分性判定テスト( 特異点閉じ込めテスト、代数的エントロピー)と離散パンルヴェ方程式の研究、高橋らによる箱玉系と超離散化の発見、Bobenkoらによる離散微分幾何学の創始とその CG・建築・デザインへの応用、Adler-Bobenko-SurisらによるConsistency around a cube (CAC) 性によるABS方程式の発見、京都大学の中村らのグループによる特異値分解アルゴリズム等の可積分アルゴリズ ム、丸野、太田らによるメッシュが大変形部分で自動的に細かく刻まれる自己適合移動格子スキームの開発など、新たな数理手法( 数理技術)の開発につながってきた。
離散可積分系は単に連続な可積分系(微分方程式系)の離散化というだけではなく、連続系ではみられない離散系特有の性質やそもそも対応する連続系が存在しないものもあり、研究対象として非常に興味深い。しかしながら、離散可積分系の研究は近年急速に発展しているとはいえ、連続系に比べて数理解析手法が充実しているとは言えない状況であり、そのことによって連続系と比較してまだまだ未解決の問題が多く残っているのが現状である。また、独立変数のみでなく従属変数も離散化した超離散可積分系についてはさらに数理解析手法が乏しい状況であり、超離散系の研究を阻んでいる。
本研究課題では、離散可積分系における数理手法の深化と革新的な数理手法の開発と応用に取り組んだ。特に,ABS方程式の厳密解を離散KP方程式から系統的に導出することに成功した.また,楕円ソリトン解の構成方法,遅延ソリトン方程式の可積分性,非線形波動方程式の自己適合移動格子スキームの開発,楕円型2次元戸田格子の2次元局在パルス解(ランプ解)の解析の研究についても取り組み,研究成果を得た.