表題番号:2024C-708 日付:2026/05/24
研究課題宇宙ステーションの浮遊炉で溶解凝固させたヘテロ凝固核添加チタン合金内の結晶粒分布
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 鈴木 進補
研究成果概要
 金属積層造形では、凝固時に微細結晶粒を得るため、ヘテロ凝固核TiCを添加したチタン合金粉末が開発されている。申請者は、TiC添加効果を定量的に明らかにするため、2023年に国際宇宙ステーション(ISS)搭載の静電浮遊炉を用い、無容器・低対流環境下でTiC添加TiおよびTi-6Al-4Vを溶解凝固させ、直径2 mmの球状試料を回収した。試料中のTiC分布と結晶粒分布の対応から核生成機構の定量化を進めている。本課題では、回収試料中の結晶粒数を定量評価することを目的に、断面観察と高輝度X線回折実験を実施した。試料にはTiCを5 mass%添加したTi-6Al-4Vを用いた。 まず、電子後方散乱回折(EBSD)により旧β粒マップを取得し、隣接粒間の方位差を解析した。SEM像と重ね合わせた結果、段差と対応しない粒界の方位差は1°および179°であり、BCC構造の対称性を考慮すると実際の方位差は1°未満であることが分かった。したがって、段差のない領域は同一粒と判断でき、表面粒数とVT法による内部推定を組み合わせることで全粒数を推定した。 さらに、同一試料についてSPring-8 BL20XUにおいてμ-XRD測定を実施した。試料を0.5°刻みで360°回転させ、計720枚の回折パターンを取得した。各ピクセルについて全フレームの強度中央値をバックグラウンドとして除去し、α相{10-10}リング上の孤立した高強度スポットを抽出した。連続フレーム間で重心が一致するスポットを同一粒として分類した結果、試料全体の粒数はEBSD解析による推定値と約10%の誤差で一致した。 本研究により,試料内の結晶粒数を推定する方法を確立した。