表題番号:2024C-694
日付:2025/03/16
研究課題柳田民俗学の組織化に関する基礎的研究ー1950年代を中心にー
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 鶴見 太郎 |
- 研究成果概要
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1950年代を中心に地方の郷土研究に関わる雑誌を追うことで俯瞰できたのは、民俗語彙を媒介とする柳田国男の方法とは別に、民俗事象そのものを分析する傾向が次第に顕著となってきている点である。但し、こうした技術的な問題が更新されてゆくこととは別に、世相の変化、歴史認識、心意にみる日本人の特色など、柳田が立てた問は依然として残されたことが確認された。この点については、2025年3月8日に行われた柳田国男生誕150年記念シンポジウム「柳田学の現代的意義を考える」(於・早稲田大学戸山キャンパス 早稲田大学総合人文科学研究センター「トランスナショナル社会と日本文化」部門、地名研究所共催)において、「趣旨説明」の中で紹介した。
当該の時期は、次第に地方の研究者の中で直接柳田を知る世代が減じつつあり、柳田の方法もまた、変容を迫られたころに符合する。ひるがえっていえば、それだけ柳田と交流の在った郷土史家は「民間伝承の会」という緊密な連絡網とともに、厚い層を形成していたといえる。これらの過程で得た知見については、2025年に刊行予定の『柳田国男事典 改訂版』(勉誠社)の中で分担している「民間伝承の会」、「『民間伝承』」、「『日本民俗学研究』」、「橋浦泰雄」、「中野重治」、「対談・座談」、「荒垣秀雄」、「臼井吉見」その他の執筆項目の中で言及した。