表題番号:2024C-693 日付:2025/02/12
研究課題近代社会学における集合行動に関する学説史研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 土屋 淳二
研究成果概要
本研究では,近代国家の形成過程における危機と秩序再編にみる歴史的特殊性に思想的背景を背負いながら,一個の個別経験科学として自己意識化されていった明治・大正期にまたがる草創期日本社会学の系譜を辿り,爾後の激動期での社会騒擾や民衆暴動に対する危機意識から大正民本主義運動や知識人運動等へと導かれた社会変革論と,社会統制や秩序維持の保守体制論との力動的な対立構造の枠組みおいて内発する視座の特質を精査し,現代のポピュリズム研究における社会学理論の思想的源流と知識社会学上の問題位相を討究することを目的としている.学説史の系譜にみられる理論的視座の変遷と諸特質,またその歴史的意味と論争点を明らかにし,現代のポピュリズム論で議論される「ポピュリスト(populus)」の定義論やポピュリズムの構成要件としての反エリート主義や反知性主義に関する社会学理論自体に内在するイデオロギー批判のあり方について,近代社会学の成立期にみられる思想的源流にまで遡り,知識社会学の観点から追究する.