表題番号:2024C-681 日付:2025/04/21
研究課題過疎地における交感的コミュニケーション
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 武黒 麻紀子
研究成果概要
本課題は、過疎地でのコミュニケーションについて探るために、健康寿命アップに関わるとも言われる図書館利用を徳島県海陽町において調査した。図書館利用が、遠くて重くて大変な高齢者を念頭に「いつでも どこでも だれでも」をモットーに移動図書館号が町全域に走り始っているが、利用者は主に小学生で一般利用は限定的である。図書館側は自治体にさまざまな要望や提案をし、工夫を凝らした発信をしているがそこには複数層(移動手段、図書館の役割の理解、図書館利用のニーズ)でコミュニケーション上のディスコーダンス(不調和・不一致・齟齬)が見られた。しかし、本を借りることが目的だった昔と比べて、現在の図書館は、読み聞かせや朗読会が関わるボランティア活動、新聞の代わりの媒体を手にいれる、涼む目的、一人暮らしのお年寄りが司書や利用者と会話を交わすための「居場所」となってきている。今後は、図書館利用にまつわるディスコーダンスを調べるために実際の図書館におけるコミュニケーションデータを集めること、図書館移動図書館も来ないのに利用を求める声も上がらない地域には図書館に取って代わる何かがあるのか、広くコミュニケーションの観点から複数層で調査する予定である。