表題番号:2024C-670
日付:2025/04/01
研究課題戦間期におけるパンフレットの総合的分析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 政治経済学術院 政治経済学部 | 教授 | 土屋 礼子 |
(連携研究者) | 福島大学 | 准教授 | 新藤雄介 |
(連携研究者) | 東京経済大学 | 准教授 | 大尾侑子 |
- 研究成果概要
- 2024年8-9月に大原社会問題研究所と大阪エル・ライブラリー、及び大阪公立大学長尾文庫にて、所蔵パンフレットの詳細項目と写真を採取し目録を作成した調査結果を踏まえて、研究プロジェクトのメンバーは、10月26日に、日本メディア学会2024年度秋季大会でワークショップ「パンフレットからみる戦間期におけるメディアの大衆化」(司会:大尾侑子、問題提起者:土屋礼子、討論者:新藤雄介)を開催した。その中で、1920年代半ばまでパンフレットには社会主義の宣伝に関する不穏な文書のイメージが強かったこと、しかし1925年に成立した普通選挙法の実施によりパンフレットは一般の政党にも活用されるようになったこと、さらに1934年(昭和九)に起きた陸軍パンフレット事件が一つの画期であったこと、それ以降のパンフレットの氾濫が1936年(昭和11)の不穏文書臨時取締法の成立と、内閣情報委員会による国策パンフレット『週報』に至る流れを明らかにした。 2025年1月17日には大阪のサントリー文化財団で中間報告を行い、2月5-7日には大原社研での再調査を実施、目録の採録数が500点以上に達した。また、3月12日には北京の中国伝媒大学で、3月14日には上海師範大学で、土屋が「戦間期(1920-30年代)プロパガンダ手段としてのパンフレット」を通訳附きで発表した。3月24日には第五回エフェメラ研究会を早大にて開催、小林昌樹氏による「納本制度とエフェメラ、例として図書館とエハガキ」を講演頂き議論した。 研究論文は、早稲田大学現代政治経済研究所20世紀メディア研究所発行『Intelligence』26号(2025年3月末刊行予定)の特集「戦前期のパンフレット」に、土屋「陸軍パンフレット事件の前後-エフェメラとマス・メディアの間」、新藤「明治期初期社会主義におけるパンフレット出版前史-堺利彦と由分社にとっての「小冊子」戦略」、大尾「出版広告パンフレットの普及とその受容─円本全集ブーム期における内容見本の位相」をそれぞれ執筆、掲載した。