表題番号:2024C-669
日付:2025/02/05
研究課題運動時間と心理的健康に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | データ科学センター | 講師 | 望月 泰博 |
- 研究成果概要
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大阪がんセンターでは、健康に関わる大規模なウェブ調査を実施し、得られたデータをもとに詳細な分析を行った。具体的には、日常生活における運動時間を説明変数とし、幸福感や抑うつといったメンタルヘルス指標を目的変数とする回帰分析を実施した。統計手法として一般化加法モデル(Generalized additive model)を用い、運動時間とメンタルヘルスの関係を非線形の視点から検討した。
その結果、メンタルヘルス指標ごとに最適な運動時間が異なることが明らかになった。例えば、幸福感を最大化するための運動時間と、抑うつ傾向を最小限に抑えるための運動時間が必ずしも一致しないことがわかった。これは、運動がメンタルヘルスに与える影響が一様ではなく、異なる心理的側面に対して異なる最適な運動パターンが存在することを示唆している。
しかし、心理的健康を最適化するためには、運動時間単体ではなく、睡眠時間や座位時間などの行動時間のバランスが重要となる。たとえば、運動時間が長くても、睡眠不足がそれを相殺する可能性がある。また、長時間の座位行動が抑うつ傾向を悪化させることも報告されており、これらの要素を総合的に考慮する必要がある。
現在は今回のデータには、運動時間に加え、睡眠時間や座位時間に関する情報も含まれている。これらの要素を説明変数に追加し、より精緻な分析を進めることで、個々人にとって最適な行動時間の配分を明らかにし、健康増進のための具体的な指針を提示することを目指している。なお、当該研究は2025年度の特定課題として研究を継続する予定である。