研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | データ科学センター | 講師 | 寅屋敷 哲也 |
- 研究成果概要
本研究の目的は、産業復興支援のインパクト評価手法の開発に向けた必要条件の整理を行うことである。本研究は、まずは過去に実施された産業復興支援施策に関する文献のレビューや施策の実施要領等の資料を分析し、特徴の整理を行った。具体的には、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年台風第19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震の特定非常災害を対象として、これら災害において実施された産業復興施策を調査した。その結果、支援施策は少しずつ変遷があり、災害の規模による支援の濃淡、将来の大規模災害における財源問題の懸念が明らかとなった。現在においても大規模災害における産業復興施策において制度化されているのは一部の資金繰り支援施策等に留まっているが、近年の一連の大規模災害を経てどのような施策が実施されるかは固定化されてきていることがわかった。その中で、産業復興支援施策のインパクト評価を行う上で、仮設施設整備に関する支援施策を対象として研究を進めることとした。その理由は、現地復旧が早期に実施できない程の甚大な被害を受けた事業所においては、本格復旧をするまでに仮の拠点で事業を継続しなければ、数ヶ月から数年以上を要して本格復旧を成し遂げたとしても取引先の維持が困難となるため、復旧後に事業に影響が生じてしまうため、仮の拠点で事業を継続することが重要になるからである。そのため、地方自治体が被災企業の支援のために仮設施設を整備することを支援し、無償で被災企業が活用できる中小企業基盤整備機構の仮設施設整備事業に着目する。そこで、直近で発生した能登半島地震で実施された同事業による仮設宿泊施設に関して、実施主体である石川県庁にヒアリング調査を実施した。その結果、インパクト評価における指標の検討の参考となる同事業の実施経緯や被災事業者の支援の実態について把握することができた。