表題番号:2024C-661
日付:2025/03/13
研究課題Comparing Student as Partners (SaP) practice in Japanese and Australian Higher Education
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 大学総合研究センター | 教授 | 井上 史子 |
(連携研究者) | University of Melbourne | Lecturer | Andrea Dodo-Balu |
- 研究成果概要
- Student as Partners(以下、SaP)は、高等教育の様々な場面において、学生と教職員がパートナーシップを組むことを目的としたアプローチです。本研究は、Matthews, K. E.(2017)が提唱するSaPの5つの命題を通して、オーストラリアと日本の大学におけるSaPの取り組みを比較検討しようとするものです。この命題は、パートナーシップにおける教職員と学生の真の主体的な関わりがもたらす変革の可能性を明示しています。SaPはオーストラリアの高等教育においては教育・学習戦略としてよく認識されていますが、その視点は多様であり、かつ変化もしています。日本ではSaPの概念はあまり知られていませんが、学生を積極的に自らの学習に関与させることの有用性は認知され、奨励されています。SaPを大学教育に導入することについての意義は、互恵的な関係がどのようなものかを実際に体験し、その経験を踏まえてSaPの価値を学生に伝えることができることです。ただその意義を的確に表現する言葉をみつけ、教職員や学生に伝えることの難しさも本研究を通して分かってきました。自身の授業を受講している学生達にSaPについて意見を聞いてみたところ、「SaPは、学生の意見を反映しより学生にとって意義のある大学づくりを進める上で重要な取り組みである」といった意見がある一方、「上下関係の意識が強い日本において、教職員も学生もお互いをパートナーとして考えられるかがSaPの理解と実行性のある取り組みとしていくために重要である」「学生参画にあまり興味がない学生が多い。SaPを進めるには学生の意識が変わらないと難しいのではないか」「学生を巻き込むためにはSaPの理念がしっかり伝わる広報活動が重要」といった意見がありました。今後、教育改善の視点から両国におけるSaP実践に関する調査も進め、SaPをそれぞれの国で定着させていくための方策について共同検証することを通して、両国の高等教育の発展に貢献していきたいと考えています。