表題番号:2024C-644 日付:2025/04/11
研究課題防災街歩きが地域住民の防災リテラシーに与える効果の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 平山郁夫記念ボランティアセンター 講師 佐々木 俊介
研究成果概要

本研究の主たる目的は、防災の街歩きが、防災街歩きの参加者の防災リテラシーの向上にどのような効果があるのかについて明らかにすることであり、副次的な目的は、防災街歩きの企画者の防災リテラシーの向上に与える効果を明らかにすることである。本研究におけるフィールド調査は、主に大分県中津市万田である。本研究における参加者は、大分県中津市の住民であり、防災街歩きの企画者は、早稲田大学の学生である。

防災街歩きへの参加は、防災意識の向上に少なくない効果があることが明らかになった一方、防災街歩きに参加する時点で既に防災意識が高く、防災街歩きによって防災意識が高まったのか、もともと防災意識が高かったのかについては明確に明らかにすることができなかった。まず、防災意識の向上については、生活に溶け込み、普段は意識することなかった災害リスクについて、防災を意識して街歩きを行うことでリスクを意識して確認するようになり、防災意識の向上につながった。しかし、防災意識が低い住民は本防災街歩きに参加しておらず、本活動によって防災意識の向上を行うことが望ましい人々に対しては効果を与えることができなかった。ただし、防災街歩きに参加しなかった住民の中には、防災街歩きを実施していることを認識している者も存在していたため、このような人々に対して何らかの防災意識の向上を促した可能性は残されている。防災街歩きに参加している時点で既に防災意識が高い人々であるといえ、防災街歩きによって何らかの気づきを得ることができてはいるが、防災意識の向上自体に与えた影響については、今後より詳細な分析を行う必要がある。

企画者である早稲田大学の学生たちは、地域住民のための防災街歩きの実施のためという明確な目標がモチベーションとなり、防災街歩きの企画を通じて、教科書的な知識を実践的な知識にすることができていたといえる。