表題番号:2024C-630 日付:2025/04/04
研究課題Unix系のOSやプログラミングの学習を目的とした教育支援システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) グローバルエデュケーションセンター 講師 後藤 孔
研究成果概要
本研究では,教育機関におけるUnix系OSおよびプログラミング学習環境の構築・管理負担の軽減を目的とし,それらをWebブラウザ上で動作させる技術を調査し,必要に応じた開発を行った.調査過程においては,導入・運用の要件が比較的少なく,教育現場での活用が容易な技術を対象とし,textual-web,WebVM,LinuxPDFと呼ばれる3つのオープンソースソフトウェアを主に比較検討した.その結果,textual-webはPython環境と関連パッケージ管理ツールがあれば,ターミナル環境をWeb経由で手軽に公開でき,ユーザは専門的な知識がなくてもWebブラウザから容易にアクセス可能である.一方で,ユーザごとの専有環境やスーパーユーザ権限の提供が難しく,管理者権限を要する操作や詳細な環境設定には制約がある.WebVMはWebAssemblyを用いてWebブラウザ上でLinux仮想マシンを実行する技術であり,ほとんどの処理をユーザのPC上で完結できるため,サーバ運用の負担を軽減できる利点があるが,仮想マシン配信や一部の処理には別途Webサーバが必要で,サーバ導入が難しい授業環境では制約がある.LinuxPDFはPDFに埋め込まれたJavaScriptを実行できるソフトウェアがあれば,サーバ不要の完全ポータブル環境を構築可能で運用面では理想的だが,性能・機能面で教育用途には不十分である.開発過程においては,各技術のローカルビルドと機能拡張を試行し,WebVMが最も高機能であることを確認したが,導入・運用の容易さを考慮すると,LinuxPDFのようなサーバレスかつポータブルな技術が理想的である.今後の課題は,LinuxPDFの高速化やWebVM並の機能・性能を備えたサーバレス技術の開発である.これらの研究が実現すれば,教育機関におけるPC環境の構築・管理負担の軽減に貢献すると期待される.