表題番号:2024C-628 日付:2025/05/21
研究課題知性と感性の涵養に向けた履修モデルの設計
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) グローバルエデュケーションセンター 准教授 村松 慶一
(連携研究者) 人間科学学術院 教授 松居辰則
研究成果概要
研究課題「知性と感性の涵養に向けた履修モデルの設計」に関する研究成果を報告する.本研究は,早稲田大学が掲げる「地球市民の育成」という建学の理念に基づき,学生の人間的力量(self-competence)を育成するための教育プログラムの体系化を目指すものである.具体的には「たくましい知性」と「しなやかな感性」を育むという教育方針のもとで,正課科目と正課外プログラムを円滑に接続するための履修モデル設計に関する研究を行った.研究方法としては,パーソナル・コンストラクト理論を援用し,授業を通して学生に期待される視点や観点をコンストラクトとして収集した.収集したコンストラクトと科目の関連性を調査し,潜在クラス分析を用いて26のコンストラクトのクラスを特定した.さらに,科目とコンストラクトクラスの関連パターンの分析に基づき,科目の分類とマッピングを試みた.その結果,科目はリーダーシップ科目群,地域連携科目群,その他の科目群に大別された.また「課題把握の観点」と「取り組み姿勢の観点」がすべての科目に共通する軸として見出され,これらの軸を用いた科目のマッピングが可能であることが示された.次に,コンストラクトの分類に基づいた科目の構造化と評価を行った.科目とコンストラクトの関連度から科目同士の関係を,科目マップという形で可視化することができた.この科目マップによって,学生が自ら必要な科目を選択する際の「ガイド」として機能することが期待される.今後の課題としては,コンストラクトの定義の精緻化,科目固有の属性の表現方法の改善,コンストラクト間の関係構造を明確にするためのオントロジーの構築が挙げられる.これらの課題に取り組むことにより,正課科目と正課外プログラムの接続性をさらに高め,学生の主体的かつ体系的な学修を支援する履修モデルの設計に繋がるものと期待される.科目マップについては,ディプロマ・ポリシーの理念に対する理解の向上や科目選択に際する利便性についてアンケートやインタビュー調査を行うことで,科目の構造化に対する有効性と妥当性を評価する予定である.これらの取り組みにより,各科目がどのように人間的力量の育成に貢献するかを明確化し,教育の質を向上させることが期待される.