表題番号:2024C-623
日付:2025/07/21
研究課題興味関心を高めるCLIL型授業設計方法の研究ー学習者エンゲージメントに注目してー
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 細 喜朗 |
- 研究成果概要
- 本研究は、外国語学習への興味・関心を高めるために、CLIL(内容言語統合型学習)型授業を学習者エンゲージメントの観点から考察することを目的としている。文部科学省(2015)の調査によれば、日本の高校生の58.4%が英語学習を好まず、特にスピーキングやライティングに自信がない。米国においても同様に、学習意欲の低下が課題である(ACTFL, 2019)。以前より、学習意欲の方向性や強度を決定する要因としてモチベーションが重視されてきた(Dörnyei, 2001)。一方で、本研究では、学びの過程そのものに意義を見出し、主体的かつ夢中で取り組む状態を表す「エンゲージメント」(Mercer & Dörnyei, 2020)に着目する。なぜなら、学習成果を高めるには、モチベーションの有無に加え、主体的に学習へ関与することが重要であると考えたからである。CLILは、言語学習を意味のある内容領域と統合することで、学習者の動機付けを促進する(Dalton-Puffer, 2011)と言われている。そこで、本研究では、エンゲージメントの4側面(行動・感情・認知・社会)に注目し、筆者のCLIL型授業でそれらがどう関わっていたのかを実態調査した。その結果、学習者のエンゲージメントを高めるには、活動の内容だけでなく、「何に・どのように関わらせるか」という視座が重要であることが明らかになった。また、4側面を意識した授業設計は、学習者の内発的な学習への関心を高める可能性が高い。さらにCLIL型実践の考察を通して、特に次の3点がエンゲージメントの向上に効果的あることが示唆された。①段階的な言語支援により、学習者の言語不安を軽減し、積極的参加を促すこと、②定期的な内省活動を通じてメタ認知を高め、学習の主体性を促すこと、③教師支援と自律性のバランスをとることで、学習者の自信と自律的学習姿勢を育むこと、である。今後は、これらの明らかになった3点を活用し、より汎用性のあるCLIL型授業の構築を目指していきたい。