研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 後藤 潤平 |
- 研究成果概要
日本における少子高齢化に伴う人口減少はいよいよ勢いを増しており、特に地方において顕著である。その結果、従来姉妹都市交流の中心的な活動とされてきた青少年交流についても、地方の市町村においても様々な影響が現れる可能性がある。本研究は、少子化の進む地方自治体の都市間交流に、都市部の生徒が有効に寄与する可能性について、実践を通じて検討するものであった。2024年度は、約3万人の人口を擁する山形県上山市と、約2万人の人口規模であるドナウエッシンゲン市の間で30年にわたって紡がれてきた姉妹都市交流に、東京都で第二外国語としてドイツ語を学ぶ高校生が有効に関与しうるかどうかを検討した。1995年に友好都市となり、2025年に30周年を迎える両市の都市間交流の一環として、2024年7月末から8月上旬にかけて、ドナウエッシンゲン・レアルシューレの引率教員と、同市内の異なるギムナジウムに通う高校生が上山市を訪問した。同訪問団が上山滞在を経て帰国するにあたり東京に滞在する日を、都内でドイツ語を履修する生徒との交流にあてた。交流に参加した日本人生徒は、早稲田大学高等学院3年生のドイツ語履修者を母体とした生徒からこの取り組みに反応した9名が主体だが、学部に進学した3名の早稲田大学1年生も参加した。交流は、校内の多目的教室でのプレゼンテーションとグループ交流、校内の教室外交流、その後都内各地に移動してグループ交流を行った。事後アンケートから、交流ではドイツ語だけでなく、生徒によって英語や日本語が主に用いられたり、最も交流できた場所としても校内の教室、校外のグループ交流を挙げるものおり、習熟度に比べて国際交流の経験が影響したと推察された。また各方面の関係者からは今回の取り組みに良好な反応を得ることができ、都市部生徒が地方の都市間交流に寄与する可能性は十分に認められたと考えられる。今後学内研究年誌に報告する予定である。