表題番号:2024C-579
日付:2025/03/28
研究課題加齢に伴う顔の老化と体力の関連
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 准教授 | 谷澤 薫平 |
- 研究成果概要
【目的】本研究は、全身持久力が高い者では顔の皮膚老化が抑制されている(例: 弾力性が高い、しわが少ないなど)という仮説の検証を目的として行った。
【方法】40歳以上の男女94名を対象とした横断研究を行った。顔の生理学的皮膚指標として、水分量、弾力性、皮脂、水分蒸散量をプローブを用いて測定した。見た目の皮膚指標として、しわ、色素沈着、スキントーンなどを、全顔画像分析装置を用いて測定した。全身持久力の指標である最高酸素摂取量 (VO2peak)は多段階漸増負荷法と呼気ガス分析法により測定した。
【結果】性別、年齢、体脂肪率で調整した偏相関分析の結果、VO2peakは皮膚水分量(r= -0.239, p=0.025)、赤み(r=-0.336, p<0.001)、スキントーン(r=-0.268, p=0.012)および光彩エリア(r= -0.254, p=0.017)と負に相関し、ブラウン色素と正に相関した(r= 0.227, p=0.033)。これらの皮膚指標のうち、皮膚水分量は年齢と負に相関し(r= -0.244, p=0.002, 調整因子: 性別)、ブラウン色素は年齢と正に相関した(r= 0.221, p=0.037, 調整因子: 性別)。
【結論】中高齢者において、全身持久力が高い者ほど顔の皮膚水分量が低くブラウン色素が多いことが明らかになった。皮膚水分量は加齢により減少し、ブラウン色素は加齢により増加することから、全身持久力が高い者では、顔の皮膚老化が抑制されるという仮説は支持されなかった。