表題番号:2024C-575
日付:2025/01/18
研究課題アスリートの競技力向上に影響を及ぼす要因に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 教授 | 深見 英一郎 |
- 研究成果概要
- アスリートにとって競技力を向上させ,すぐれた成績を収めることは大切な目標であり,競技を継続する上で大きなモチベーションとなる.しかし,競技力を向上させることは容易ではない. これまで,アスリートの競技力向上に影響を及ぼす様々な要因について検討されてきた. その結果,競技開始の適時性に関して,早くから1つのスポーツに特化して専門的に取り組むよりは,幼少期は様々な遊びや運動を経験した方が多様な運動感覚や動作の習得に繋がりやすいという考えがみられた.また,身体的・精神的に未成熟の子供が早期から単一競技に専念することは,身体の同一部位に繰り返し負荷がかかり障害を引き起こす危険性が高くなることや,怪我やバーンアウトに繋がる可能性があることが指摘されている.本研究の目的は,様々な競技に取り組む現役の大学生競技者を対象に,専門競技の開始時期と競技力が最も向上したと実感した時期,専門以外のスポーツ経験及びその効果について調査を実施することで,大学生競技者の競技力の向上に影響を及ぼす様々な要因を明らかにすることであった.対象は,幼少期から大学生年代まで部活動またはクラブチームでスポーツを継続した経験のある体育・スポーツ系学部に所属する大学生690人(男子364人,女子326人)であった.2023年5月―7月に,GoogleフォームによるWebアンケート形式で行った. その結果,多くの一般競技者は小学校までに競技を開始し,高校で最も技能の伸びを実感していた.彼らの多くは開始時期を「適切」と捉え,競技力を高める上でより早く開始することが重要だと認識していた.競技力向上に重要な影響を与える要因について,「指導者」「チームメイト/ライバル」「練習時間・量」の3つはプラス/マイナス両面において重要であることが示された.以上の結果から、今後の望ましい競技者育成の在り方に関する有用な知見を得ることができた.