表題番号:2024C-571
日付:2025/02/05
研究課題Point-light displayによる荷役作業時の荷物重量の推定
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 講師 | 肥田 拓哉 |
- 研究成果概要
- 労働現場における作業による腰痛や肩こりなどの筋骨格系障害の予防には作業姿勢の評価が実施されるが、その評価には高額な計測機器や高度な専門知識が必要である場合が多い。そのため労働現場では、前述の方法よりも低コストかつ簡易に実施できる人間工学評価ツールが利用されている。人間工学評価ツールのひとつであるOWASは、背部、上肢、下肢の姿勢、および荷物の取り扱い重量によって姿勢の改善要求度を評価する方法である。ただし、人間工学評価ツールは目視による姿勢評価法であるため、手法に関する知識が必要であること、評価には手間がかかること、評価結果にばらつきがあることなどの課題がある。これらの課題を解決するために、これまでの研究では作業画像から得られる関節2次元座標によって作業姿勢を自動で評価する方法を提案したが、荷物の取り扱い重量については手入力となっていた。そこで本研究では、Point-light display(以下、PLD)という身体の動作を点のみで表現する方法を利用して、荷物の取り扱い重量を推定できるかを検証した。本研究では、PLDを作成するための撮影実験とPLDにより重量を推定する観察実験を実施した。撮影実験では、男性3名の作業者に対して3水準の重量(5kg、15kg、25kg)の荷役作業を実施させ、モーションキャプチャシステムにより作業者の3次元姿勢情報を取得した。そして、その計測データをもとにしてPLDを作成した。観察実験では、作業者とは別の5名の被験者に対してPLDを提示し、荷物の取り扱い重量を三者択一により選択させた。観察実験の結果、取り扱い重量の正答率の平均は約45%、正答率が最も高い被験者は約60%、最も低い被験者は約31%であり、被験者による正答率の差が大きいことが明らかとなった。今後は、正答率の差の要因をさらに分析および解明し、身体の2次元座標による重量の推定方法を考案する。