表題番号:2024C-568
日付:2025/03/27
研究課題非侵襲的脳刺激による個体間脳波オシレーションのモジュレーション効果検証
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 助教 | 栗原 勇人 |
- 研究成果概要
人インタラクションの場面では、二者間の脳活動が同期する現象が観察されている。しかし、対人インタラクションと脳間同期の共起に関する因果関係については、まだ十分に解明されていない。そこで本研究では、右側頭頭頂接合部(rTPJ)をターゲットとし、二人同時に経頭蓋交流電気刺激(hyper-tACS)を、交互タッピング課題中に実施した。tACSを用いることで、特定の脳波周波数帯域に対してモジュレーションを行うことができる。刺激周波数として6 Hz(シータ帯域)、10 Hz(アルファ帯域)、20 Hz(ベータ帯域)の3条件と、位相モードとして同位相・逆位相の2条件を設定し、これらを組み合わせた3×2の被験者内計画を実施した。パイロットスタディとして、3ペア(計6名)を対象に実験を行った。タッピング直後には、互いに協働して作業できたと感じたかを測定するため、Joint Agencyに関するVisual Analog Scale(VAS)形式の質問紙に回答してもらった。各周波数帯域における同位相刺激と逆位相刺激の差を検討したところ、6 Hz刺激のみ同位相刺激のほうが逆位相刺激よりもJoint Agencyの得点が高い傾向が認められた。以上より、rTPJにおける脳間同期がJoint Agencyの生成に寄与している可能性が示唆される。今後はさらに実験参加者を増やすとともに、シャム刺激(sham)条件との比較を進めていく予定である。