表題番号:2024C-561
日付:2025/04/08
研究課題大学進学時の文理選択がSTEAM領域の学び直しに与える影響の把握とナッジによる解決
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 尾澤 重知 |
- 研究成果概要
- 大学入学時に自身を「文系」と捉え、理数系科目に強い苦手意識を持っている文系学部の学生に対して、いかにデータサイエンスをはじめとする理数系の学びを促したら良いだろうか。本研究では、私大文系として入学する学生が過半数を占める学際系学部に所属する学生を対象に、理数系を含む教育(STEM/STEAM教育)の効果的な実施方法とその評価方法について検証することを目的とする。2024年度は、上記の大きな目標を達成するための準備段階、関連研究として、以下3つの研究を実施した。第一は、大学生の文系・理系に対する価値観の形成過程と就職活動との関係について、インタビューを用いた研究である。第二は、高校生の進路選択における「文系」「理系」の選択過程について、授業内のワークショップやグループインタビュー調査を用いて検討した。第三は、認知科学や行動経済学等において活用が進められているナッジ(Nudge)の応用に関する基礎研究である。第一については、これまで継続してきた「文理融合学部の女子学生が就職活動時に理系の就職先を選択しない要因に関する質的研究」について、高見・尾澤 (2025)の連名として日本教育工学会の論文誌に掲載された。第二については、ワークショップとして実施したデータとインタビューの結果、高見・尾澤 (2022) で明らかにしてきたジェンダーと文理選択時におけるバイアスについては、いわゆる共学校よりも、女子校の方がバイアスの軽減がなされる可能性を見いだすことができた。第三については、マイクロクレデンシャルにおけるオープンバッチの議論において見られる「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」のような段階的な認証の効果について試行的な評価を行った。今後は、これらの知見を統合し、学生が主体的にSTEAM領域の学び直しに向き合えるような教育デザインの具体化を進めていく予定である。