表題番号:2024C-554
日付:2025/04/09
研究課題発酵食品が誘導するオートファジーの作用機序解析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 講師 | 矢野 敏史 |
- 研究成果概要
- オートファジーは細胞内成分の分解機構であり、変異タンパク質や損傷オルガネラの除去によって、細胞のストレス応答や様々な疾患の予防に機能することがわかっている。実際に、オートファジー活性の抑制は、神経変性疾患や生活習慣病などの加齢性疾患の発症と関連することが明らかになっている。一方で、人工的にオートファジー活性を高めたモデル生物では、加齢に伴う運動機能の低下や疾患マーカーの増加を改善することが示されていることから、オートファジー調節能を有する食品成分への期待が高まっている。これまでに申請者らは、オートファジーを活性化する食品のスクリーニング解析を実施し、発酵食品に強いオートファジー活性化作用を見出している。そこで、本研究では、発酵食品がオートファジーに与える影響およびその作用分子メカニズムを解析することを目的とした。まず、オートファジー活性をモニターできる蛍光プローブを導入した細胞を構築し、オートファジー活性のスクリーニングを実施した。その結果、発酵食品中に含まれる成分から、オートファジー活性化成分を数種類同定することができた。次に、同定した成分をゲノムワイドなトランスクリプトーム解析に供し、オートファジー誘導に関わる候補分子の探索を行った。その結果、一般に知られる栄養センサーを介した飢餓誘導性オートファジーとは異なるメカニズムの存在と、オートファジー活性化に関わる候補分子群を見出した。現在、遺伝子破壊株を用いて、選別した関連分子のオートファジー誘導における作用機序の解析を進めている。